かくしごと』は、久米田康治による日本漫画作品。『月刊少年マガジン』(講談社)にて、2016年1月号から2020年8月号まで連載された。
娘に漫画家であることを隠し通そうとする父と、その娘の日常を、漫画家のあるあるネタを交えつつ描かれる久米田自身の体験談を思わせるハートフルコメディ。タイトルは「隠し事」と「描く仕事」のダブル・ミーニングとなっている。
コミックス第1巻の発売に合わせて、久米田にとっては日本国内で初めてとなる単独サイン会がアニメイト名古屋にて開催された。また、シャフト制作によるアニメPVが公開されている。2017年8月26日から同年10月15日まで湯前まんが美術館熊本県球磨郡)において、「久米田康治のかくしごと展」(原画、ネーム展示)が開催された。

姫10歳編はコメディであり、姫18歳編は対照的にシリアスなストーリーである。姫18歳編では、姫10歳編の後に何があったのかが回想として徐々に明かされると共に、姫10歳編では暗示的にしか語られなかった後藤家の家庭事情(姫の母親の行方や、祖父の正体)も明らかとなり、後藤可久士はある事情で断筆し「消えた漫画家」状態になったことが判明する。なお、11歳になった姫の誕生日の時間(姫10歳編の続きなのでコメディ風味)と18歳の姫の現在時間(シリアス風味)とがリンクして物語は進行する上、本編にはそれまでとは違い各話に副題が付かない。

アシスタント:志治 仰(しじ あおぐ)声 – 八代拓 チーフアシスタント。
芥子 駆(けし かける) 声 – 村瀬歩 新人。消しゴムかけ担当。
筧 亜美(かけい あみ) 声 – 佐倉綾音 仕上げと服飾担当。ホラー漫画家志望。
墨田 羅砂(すみた らすな) 声 – 安野希世乃 大学生。

後藤 可久士(ごとう かくし)
声 – 神谷浩史(テレビアニメ・アニメPV)漫画家。目黒区在住。下ネタ漫画『KTMCMC(きんたましまし)』がヒットしたことがあり、その後は『亀の雫』『夏子の豆』を連載。姫10歳編では『週刊少年マンガジン』(豪談社)でゴルフ漫画『風のタイツ』を連載中。かつては翔学館(アニメでは「中学館」)の雑誌で仕事をしていた。姫10歳編では主に可久士の視点で物語が進んでいく構成となっている。強気と弱気だけで、その中間がない極端な性格のため、周囲を振り回すことがよくある。仕事では熱を入れた部分と世間の評価がしばしば食い違うことに不満気味で、キャラクターデザインを担当したアニメや原作を担当した作品が自分の描いている作品よりも人気が出るなど不本意な結果になることが多々ある(アシスタントの芥子駆によれば「(両方の才能はあるが)先生の描くキャラと先生の考えるストーリーが合っていない」)。アシスタントの描いた作品に対して的確なアドバイスを与えるベテラン作家らしい姿を見せる一方で「二本に一本打ち切られている」など自虐的な発言が多く、サイン会に来てくれたファンをサクラと疑うなど何度も自信を失いかけているが、本当に自分の作品が好きで来てくれたというファンの笑顔を見てからは自信を取り戻し、鎌倉の倉庫にはファンレターを大事に保存してある。アシスタントの墨田羅砂の提案によって一度原稿のデジタル化に移行しているが、可久士が手描きにこだわったためすぐにアナログに戻っている(そして、手描きで描いていたことが最終盤で可久士が記憶を取り戻すための大きなカギとなる)。父親としては過保護で常に姫を最優先して行動するが、紛らわしい言動で周囲の女性たちからはアプローチをかけられていると思われている。目黒区中目黒の平屋建ての家に姫と暮らしており、仕事場として渋谷区のマンションを借りている。かつては鎌倉に平屋建ての家を構えていたが、妻が海難事故で行方不明になったことをきっかけに東京に引っ越す。鎌倉の家は現在は倉庫として使っており、毎週描いた原稿をしまいに行っている。なお、現在の自宅は7年前に鎌倉の家と同じ間取りをオーダーして作った新築物件である。表向き職業不明であるため、姫のクラスメイトからは貧乏と思われており、それを気にした姫に対して「オレはそこいらのサラリーマンより稼いでるわ!」と発言。姫のためなら金に糸目を付けないが、姫への投資と生活費以外は妻の捜索費用に使っているため(姫やアシスタントなど周囲の人間には決して見せないが)実際は苦しい生活を強いられていた。本名で漫画家デビューした(10年以上も本名で描いているから今更ペンネームを使えない)ため、何かと不便を感じており、プライベートでは偽名として後藤 和士(ごとう かずし)を名乗っている。実は高名な歌舞伎役者が妾に産ませた隠し子であり、父と本妻との間に生まれた異母妹(=姫の叔母)がいる。隠し子という素性もあって「父の日を祝ったことが一度もない」というほど実父とは距離を置いているが、家族との関係を完全に絶っているわけではなく、妹には鎌倉の家の鍵を託しており、自分に何かあった時に鎌倉の家を売り、姫の生活の足しにするように頼んでいた。妻を捜索していることが美談として週刊誌に載り、一部読者の心ない言葉に傷ついて漫画家を引退する。中目黒の家を手放してアパートに移り、肉体労働で姫との生活を支えるが、漫画関係の倉庫作業中の事故で昏睡状態となる。1年後に意識が回復したとき、姫が10歳のころから事故にあうまでの7年間の記憶が失われていたが、隠そうとしていた姫本人に自分の描いた下ネタ漫画の原稿を見せられることによって記憶を回復した。退院後は墨田羅砂の仕事場に居候して、戒潟の援助した病院費用返済と中目黒の家を買い戻す資金稼ぎのため、新作漫画の企画を十丸院に持ち掛けている。アニメ版では「姫ももう大人だ」と下ネタ漫画家だと知られたことを受け入れていたが、原作では姫がそれ以降いっさい漫画の話題を口にしないため、まだバレていないと思い込んでおり、墨田と十丸院からは呆れられていた。

後藤 姫(ごとう ひめ)
声 – 高橋李依安済知佳(アニメPV)
可久士の娘で姫10歳編では小学4年生~5年生。めぐろ川たんていじむしょの一員としても活動。父親思いでしっかり者。人を疑うことを知らない無邪気な少女に見えるが、自分が傷つきそうになると思考停止して「見なかったふり」をすることで自己防衛を図る傾向があり、姫10歳編で何度か父親のかくしごとがばれそうになっても、その都度回避している。姫18歳編では父親との生活が壊れるのを恐れて、父親の仕事を知ろうとしなかった、優しすぎる可久士が血の繋がった本当の父親で安心したと語っている。祖父に父、母と代々画業を生業にしている家系ということもあって絵画の才能に長けており、小学校では似顔絵コンクールの金賞を受賞し、高校では絵画のコンクールに入賞している。可久士が事故で昏睡状態になった後、父方の叔母から鎌倉の家の鍵を受け取り、父親の隠し事に踏み込むことになる。父の仕事を知ってからは漫画家であると隠していた理由を疑問に思う一方で原稿と一緒に大事に保存された多くのファンレターを見て「案外愛されていた」と可久士の仕事が「描く仕事」だったことを誇りに思い、父親のかくしごとに気付かなかったのは、自分のかくしごとを隠すために漫画の話題を避けていたのも一因だと自己分析した。父の記憶を取り戻すべく、鎌倉の倉庫に保管されている父の漫画の原稿を持っていき、記憶を取り戻させた。高校では美術部で、作品が大臣賞を受賞するなど優秀な成績を示していることから、周囲からは美大に行くと思われているが、実際には父と同じ漫画家を志望しており、部室でこっそりと少女漫画を描いていることを可久士にも隠している。

後藤 ロク(ごとう ロク)
声 – 花江夏樹
姫の祖父である戒潟魁吏から贈られて後藤家のペットとなった犬。犬種はゴールデンリトリバー。戒潟家で代々飼っている犬の四代目にあたるため最初は「四代目」と呼ばれていた(戒潟家では親犬の「三代目」が飼われている)。愛犬として役所に登録する際に職員から書類確認のため聞かれた「ご登録(ごとうろく)でよろしいですか」という言葉を姫が「後藤ロク」という名前であると勘違いし、言葉の響きを気に入ったため「ロク」と命名された。平日は可久士も姫も家を留守にしているため、子犬のころは日中は可久士の仕事場で世話をしていた。そのせいで帰巣本能により姫を仕事場に連れてきて、かくしごとがばれそうになったことも。原作では姫18歳編エピローグで鎌倉の家に戻った姫・可久士と共にいるのが1コマだけ描写。アニメ版では大型犬であるにもかかわらず、姫が暮らすアパートの室内で飼われていた。