夏目友人帳』(なつめゆうじんちょう)は、緑川ゆきによる日本漫画作品。略称は『夏友帳[1]2007年9月号から『LaLa』で連載中。初出は『LaLa DX』(白泉社2003年7月号。同誌2005年1月号から読み切りのシリーズとして隔月連載され、一部作品は『LaLa』(白泉社)に掲載された。2009年以降は、一つのストーリーが読み切りではなく、前後編や3話から4話に渡って描かれる傾向にある。

アニメシリーズは2008年から6作が放送され、2018年9月には劇場版が公開[2][3]。『LaLa』付録としてドラマCDが制作されたこともある。

2013年11月から2019年10月まで白泉社のウェブコミックサイト『LaLaメロディonline(現在の「花LaLa online」)』でカネチクヂュンコによるスピンオフ4コマ漫画『ニャンコ先生が行く!』が連載された。

2020年9月時点で累計発行部数は1500万部を記録している[4]

あらすじ

高校生の夏目貴志は、幼いころから普通の人には見えない妖(あやかし、妖怪)の姿を見たり、声を聴くことのできる能力を持っていた。両親を亡くした貴志は、その能力のため「うそつき」「薄気味悪い」と言われ、父方の親戚を転々としていたが、遠縁の藤原滋塔子夫妻に引き取られる。貴志は厄介者の自分を引き取った藤原夫妻の愛情に報いるため、自分の能力を隠しとおすと決めていた。ある日、「名前を返せ」と言う妖に襲われた貴志は、逃げる途中祠に封じられた妖怪(まだら)の封印を解いてしまう。貴志を見た斑は「夏目レイコじゃないか」と尋ねる。レイコは貴志の母方の祖母だった。貴志はレイコの数少ない遺品の中から「友人帳」を見つける。

友人帳は貴志と同様に妖が見え、天涯孤独だったレイコが妖怪たちと勝負し、負かした結果、奪った名を集めた契約書の束だった。やがて、友人帳は「多くの妖を従え、使役出来る宝物」として妖たちの間に噂として広まっていた。斑は貴志から友人帳を奪おうとするが、貴志は斑と「俺が死んだら友人帳はお前にやる」という約束をし、かわりに斑は貴志の用心棒となる。依り代である招き猫と強く結びついてしまった斑は普通の人間には「頭の大きな猫」に見えるためニャンコ先生と呼ばれるようになる。こうして、貴志とニャンコ先生は友人帳から名を取り戻そうとする者、友人帳を奪おうとする者、希有な存在である貴志を喰らおうとする者、夏目レイコの復活を知って訪ねてきた者、相談事を抱えてきた者など様々な妖怪たちと関わりを持つことになる。レイコと妖怪たちとの繋がりは力任せな主従関係といった単純なものではなく、人から避けられ、人を避けて生きたレイコとそんなレイコを見かねた妖怪たちとの想い出の数々でもあった。貴志はレイコとの唯一の繋がりであり、名を縛られた妖たちにとっては命も同然の友人帳を大切に扱うようになる。また、様々な出来事を通じて妖たちとの出会いと別れを繰り返し、彼らが抱えた事情や想いを知ってゆく。

高校では北本西村という友人が出来る。また転校生で僧侶の息子田沼要、好事家の祖父から妖に関する秘術を受け継いだ少女多軌透と知り合い友達になる。二人は北本や西村と違い貴志の抱える秘密と事情を知って協力を申し出てくれる。だが、妖の存在は感知できても見ることが出来ず身体的に悪影響を受けやすい要、魔法陣により限定的に妖の姿を見ることが出来てもそれがために命に関わるトラブルに見舞われた透を巻き込むまいとして貴志は二人にも言えない秘密を抱えることになる。また、貴志は「」(式神)を使役し、妖に纏わる怪異現象を請け負う「祓い屋」でありイケメン俳優でもある名取周一と知り合う。体表にイモリの妖怪が這い回る周一は貴志と同様に妖怪が見えることから普通の人々から距離を置き、妖を憎んでいた。同じ悩みを抱えた貴志に周一は好意的に振る舞い、妖祓いの手伝いをさせるようになる。だが、貴志は信頼出来る周一にも友人帳の存在だけは教えることが出来なかった。周一と関わるうち、貴志は祓い屋の大家「的場家」の現当主的場静司とも知り合う。ときに暴力的かつ強引な手段で妖たちを従え、祓う静司たち的場一門を貴志は警戒する。だが、静司は式を素手で撃退するほど強力な妖力を持つ貴志に目をつける。

レイコと同じく普通の人々と異なる力と理解されない孤独、天涯孤独の境遇を味わいながらもレイコが得られなかった「大切な人たちとの繋がり」を得た貴志は藤原夫妻や友人達といった「大切なもの」を守るため、ニャンコ先生と共に日々奮闘する。

舞台

主な舞台となっているのは自然豊かな田舎町。藤原夫妻が貴志を引き取る際に「若い子をこんな田舎に住まわせるのは気の毒」と気後れしたほど。辺りには山や森が数多くあり、土着神を祀った祠やいわれのある寺や神社が点在する。もともとは信仰心の厚い土地柄だったようだが時代の変遷と共にそれが失われつつあり、人間の信仰心を糧として力を得てきた妖たちが力の喪失や没落といった憂き目を見ている。大きな街からもそう離れておらず、必要に応じて街に出ることもある。

明確な舞台設定は無いが、劇中には作者の出身地・在住地である熊本県人吉市の風景をモデルとする描写が多数存在する。そのため、人吉市やその近辺の地域では、いたるところに夏目友人帳に関連するもの(グッズ・ポスター等)が数多く存在する。アニメ第3期製作にあたっては、作者自らが熊本県のお気に入りの風景を監督・アニメスタッフに紹介しており、人吉球磨の風景が参考にされていることから、郡市の新規PR事業にタイアップすることが2011年6月に発表された。アニメ第4期夏目友人帳 肆「♯12 記憶の扉」において、福岡県福岡市や福岡市早良区次郎丸、同賀茂周辺の描写がなされ、主人公が手に持つ地図が福岡市内のそれと同じものであることが、作中にて分かる。

初版発行: 2005年著者: 緑川ゆき巻数: 既刊4巻(2019年5月現在)作画: カネチクヂュンコジャンル: ミステリ、 スーパーナチュラル・フィクション出版社: ビズメディア、 白泉社

公開日2021年1月16日
キャスト夏目貴志:神谷浩史
ニャンコ先生・斑:井上和彦
田沼 要:堀江一眞
三篠:黒田崇矢
ヒノエ:岡村明美
ちょびひげ:チョー
一つ目の中級妖怪:松山鷹志
牛顔の中級妖怪:下崎紘史
ミツミ:金元寿子
スタッフ原作:緑川ゆき/月刊LaLa(白泉社)連載
総監督:大森貴弘
監督:伊藤秀樹
脚本:大森貴弘 村井さだゆき
コンテ・演出:伊藤秀樹 大城美幸
妖怪デザイン・アクション作監:山田起生
サブキャラクターデザイン:萩原弘光
作画監督:山崎絵里 田中織枝
美術:渋谷幸弘
色彩設定:宮脇裕美
編集:関 一彦
撮影:田村 仁
音楽:吉森 信
アニメーション制作:朱夏
製作:「夏目友人帳」製作委員会
配給:アニプレックス

(C)緑川ゆき・白泉社/「夏目友人帳」製作委員会
『夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者』公式サイト

夏目貴志 神谷浩史
ニャンコ先生 斑 井上和彦
夏目レイコ 小林沙苗
名取周一 石田 彰
田沼 要 堀江一眞
西村 悟 木村良平
北本篤史 菅沼久義
笹田 純 沢城みゆき
多軌 透 佐藤利奈
藤原塔子 伊藤美紀
藤原 滋 伊藤栄次
的場静司 諏訪部順一

シリーズ沿革

2008年より長期にわたって適度な間隔を開け不定期にシリーズが制作・放送されている。第6期までは全てがテレビ東京系列ほかにて放送。

第1期『夏目友人帳』は、2008年7月から9月まで放送[8]。同年8月から10月には原作者の故郷にして在住地でもある熊本県や第1期・第3期のエンディングを担当していた中孝介の出身地・鹿児島県でも放送された。

第2期『続 夏目友人帳』(ぞく なつめゆうじんちょう)は、2009年1月から3月までで放送[8]。第1期の夏の季節から、今作では冬の季節へと巡る。放送時期に合わせ、冬から春の季節までをテーマに描いた物語が綴られていく。DVD各巻には映像特典として『3Dニャンコ先生劇場』が収録(全5話)。CGのニャンコ先生による超短編コントとなっている。

第3期『夏目友人帳 参』(なつめゆうじんちょう さん)は、2011年7月から9月まで放送[8]

第4期『夏目友人帳 肆』(なつめゆうじんちょう し)は、2012年1月から3月まで放送[8]

LaLa』2013年8月号 – 10月号と『LaLa DX』2013年9月号にて、新作オリジナルアニメ『ニャンコ先生とはじめてのおつかい』を収録したDVDの応募者全員サービスが実施された。

2014年2月5日にOVA『夏目友人帳 いつかゆきのひに』が発売された。映像特典として上記『ニャンコ先生とはじめてのおつかい』も収録。また、音声特典として『集い 音劇の章』を収録。「偽り神」と「守り犬」は劇作家の藤沢文翁がSOUND THEATRE用に書き下ろしている。

第5期『夏目友人帳 伍』(なつめゆうじんちょう ご)は、2016年10月から12月まで放送。本シリーズからアニメーション制作会社が朱夏に変更された[9]。2016年11月15日に放送予定だった第7話が特別編として『ニャンコ先生とはじめてのおつかい』に差し替えられた[10]。5期で未放送のままOVA化された2本のエピソードは、2018年2月3日にアニマックスでテレビ初放送された[11][12]

第6期『夏目友人帳 陸』(なつめゆうじんちょう ろく)は、2017年4月より6月まで放送された[13]。本放送前週に事前特番として『夏目友人帳 陸 放送記念スペシャル』が放送された[14]。6期で未放送のままOVA化された2本のエピソードは、2018年2月10日にアニマックスでテレビ初放送された[15][16]

原作で1話のみの登場であった笹田純が、夏目のクラスメイトとしてたびたび登場するなど、アニメオリジナルの設定・ストーリーがある。